先祖のワサビ田未来につなぐ(川久保地区 小泉洋作氏)
2010/11/15
小菅村から丹波山村に向かう県道。その山の中を通る県道から外れ、細くて舗装されていない道を少し歩くと清流の流れる沢がある。その沢沿いにあるのが小泉さんのワサビ田だ。小泉さんはここで約5000株のワサビを栽培している。
このワサビ田は小泉さんのおじいさんが開いたものだ。小泉さんは小さい頃から、お父さんと一緒にワサビ栽培を手伝い始め、中学生からは本格的に取り組むようになった。しかし、ワサビだけでは生計を立てていくことはできない。小泉さんは別の仕事をしながら、土日だけワサビ田に行くようになった。
しかしながら、その道は決して楽なものではなかった。昭和30年頃までワサビの値段は高かったが、それ以降は輸入物などに押され価格が下がっている。さらに、小泉さんは近年足を悪くしてしまった。そのため、山のさらに奥地に持っていたワサビ田には行くことができなくなり、放置してしまっている。他にも、最近増えた鹿や猪による獣害などの問題も山積みである。
なのに、なぜ小泉さんはワサビ栽培を続けているのであろうか。小泉さんにとってワサビ栽培とは「昔からあって、ずっと続けていくもの」である。ワサビ田を作るためには大変な労力がいり、放置して荒れてしまうとその復旧は困難なものになる。小泉さんは「おじいさんが苦労して開いたワサビ田を守り伝えていきたい」と言う。そのために、自分の体が続く限りは、例えワサビの価格が下がろうとも続けていきたいと考えているのだ。そして、子供たちにも代々続けていってほしいと願っている。
幸いなことに、小泉さんの息子さんはワサビ田を受け継ぐ意思をもっている。さらに、小泉さんの奥さんの妙子さんもワサビ田を手伝っており、足を悪くした小泉さんを助けている。そうした周りの家族の助けがあるからこそ、小泉さんはワサビ栽培を続けていけるのである。
しかしながら、小菅村のワサビ農家全体を見ると、小泉さんのように後継者に恵まれたところばかりではない。小菅村の特産品であるワサビは、今、後継者不足という問題に悩まされている。そのような中で、小泉さん一家には、これからもワサビを作り続けていってほしいと、私は願っている。






